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Journalジャーナル

7つの色が縦横無尽に浮かび上がる魅惑のブラックオパール

Issue | 2019.08.01

「B」 = Black opal

宝石の中でも特別な個性を放ち、特異な色合いが人々を惹きつけるブラックオパール。どれひとつとして同じ表情のものはありません。赤・青・緑など7つの色が縦横無尽に交差する魅惑の石。天才画家がイタズラに描いた絵画のような色彩の世界が広がるブラックオパールの魅力に迫ります。 Photo: Ikuo Kubota (OWL) / Text: Tomoko Katoh

独自の色彩の美しさを纏う石、ブラックオパールとは

ブラックオパールは様々な場所で発見されるが、宝石品位のものが商業規模で探鉱されるのはオーストラリアの小さな町・ライトニングリッジのみです。虹のような光彩を放ち、見る角度によって色鮮やかな7色の光が浮かび上がります。この現象は遊色効果(プレイ・オブ・カラー)と呼ばれており、ブラックオパール最大の特徴となっています。オパールの主成分は含水珪酸で、非結晶質の鉱物です。珪酸が水に溶解した石英岩石の割れ目や空洞に沈殿したことにより、オパールが生成されます。オパールは、1cm成長するために600万年もの歳月を要します。ゆっくりと成長していく中で、珪酸珠がきれいに揃うこともあれば、サイズや並び方がバラバラに出来たりすることもあるので遊色に個性が生まれます。オパールは地色によりいくつかに分類でき、ブラックオパールはその中の一種です。母岩が黒色あるいは濃いグレーのものでより高い遊色効果が見られます。そのため、ブラックオパールは他のオパールに比べて資産価値が数倍高くなっています。また、ルビーやエメラルドとは違い1つ1つの石の遊色効果が異なります。そのため独自の色彩の組み合わせが楽しめるのも魅力。硬度は5.5~6.5とされており、石に5~6%の水分子を含んでいるので硬質感のない独特の柔らかさを醸し出しています。発見された1900年代頃から日本人がブラックオパールを愛してやまなかったのは、柔らかさがもたらす優しい世界に魅了されたからかもしれません。

ライトニングリッジ(Lightning Ridge)は、オーストラリアのニューサウスウェールズ州北部の小さな町

石の価値を決める4つの評価基準と7つの色斑

ブラックオパールの価値判断には4つの基準が必要となります。1つ目は「色斑」。どの色斑がどのような遊色効果を見せているかが評価対象となっています。2つ目は「色斑の割合」。色斑が石全体に対してどのくらいの範囲で入っているかが価値を決める鍵となります。3つ目は「透明度」。石の表面に曇りがなく、透明感があり、明瞭かつ鮮明な色が出ているかが判断されます。4つ目は「重さ」。カラットの他、目視した際の形や大きさを評価します。ブラックオパールは色斑にレッドが入っていないと一級品でないと考える人も少なくありませんが、4つの評価基準を総合的に判断するのでレッドは必須ではありません。ただし、最高級品となるとレッドが必須条件に。レッドが入った大粒のブラックオパールは滅多にお目にかかることはなく、産出される可能性は天文学的数字となっています。

また、ブラックオパールにはレッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、インディゴ、バイオレットの7つの色斑があります。これらの色がまんべんなく交じり合いながら入っている場合には特に高い評価が。ただし、実際にはグリーンベースにブルーが混じっているものと、ブルーベースにグリーンが混じっているものの2色のパターンが大半を占めています。7つの色斑は、評価が高い順に①レッド②オレンジ③イエロー④グリーン⑤ブルー⑥インディゴ⑦バイオレット。一つの石に評価の高い色が何種類も入っていればいるほどブラックオパールの価値が上がります。中でも最高級のものは、真っ黒な地色の上に鮮明なレッド、そして他の色が強烈に石全体を遊色している一品です。

遊色効果(プレイ・オブ・カラー)を持つオパール(プレシャスオパール)

和装をよりいっそう引き立てるブラックオパール

煌びやかなドレスに上品なジュエリーを合わせるのも素敵ですが、ブラックオパールは和装も華やかに仕上げてくれます。例えば、真っ黒な金地の着物に輝きの強いルビーなどの指輪を合わせると、主役の着物以上にジュエリーが目立ってしまうことも。主張しすぎるジュエリーはアンバランスな印象をもたらし、和装の魅力を半減させてしまいます。その点、ブラックオパールは着物とも好相性。和装には赤斑の入っていないグリーン系のブラックオパールが落ち着いた雰囲気を醸し出してくれます。また、ブラックオパールは古来より「幸運の守護石」として珍重され、持ち主に「チャンスを引き寄せ、幸福へと導く」と言われています。

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