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Journalジャーナル

貴族階級が身につけてきた高貴な色を放つアメシスト

Issue | 2019.08.01

「A」 = Amethyst

2月の誕生石としても有名なアメシスト。比較的手頃な価格で手に入るため、手にしたことのある人も多いかと思います。ブラジルなどの有名産地では、中に人が立てるくらい大きな中空で表面に結晶の並んだジオード(晶洞)を形成することも。魅惑の紫色を放ち、パワーストーンとしても愛されるアメシストの魅力を紐解きます。 Photo: Ikuo Kubota (OWL) / Text: Tomoko Katoh

結婚6周年で贈られるお祝いの宝石

一言でアメシストと呼んでも、スミレ色に近いものから赤みがかった紫まで存在します。これは結晶構造中に微量に含まれる鉄によるもの。自然の放射線照射がアメシスト特有の色合いを生み出します。最高品質のアメシストは、強い紫や赤みがかった紫で色むらが見られません。色の飽和も貴重な判断基準となるのでチェックしましょう。明るいライラックのものは、濃い色よりも価格が下がってしまうことも。ファセットカットされたアメシストの大半は、裸眼で見えるインクルージョンがないものがほとんど。目に見えるインクルージョンがあるものの多くは、ビーズやカボションにカットされます。アメシストの結晶を1つカットすると、高品質の濃紫色の石が数点と、たくさんの薄い色の石に分解でき、比較的手頃な価格で手に入るため多くの人に愛されています。またアメシストは、結婚6周年に贈られる石としても有名な石。結婚祝いの場で、身につけることも少なくありません。ロシア女王エカチェリーナ2世は、アメシストが大のお気に入りでネックレス、イヤリングなどアメシストの装飾品で着飾っていました。ジュエリー好きとして知られるウィンザー公爵夫人も1953年、ベルサイユでの祝賀会でアメシストのビブ(胸当て)を身につけ注目を集めました。

インド産のアメシスト

忘れられたアメシスト鉱床

19世紀ブラジルで大きな鉱床が見つかるまで、アメシストはルビーやエメラルドにも劣らないほど高価なものでした。ブラジルは今でも重要なアメシストの産地ですが、最南端のリオ・グランデ・ド・スルは生産性の高い地域として知られています。この地域は、アメシストの豊富な鉱床の他、森や滝などの大自然に囲まれ、パンサーやジャガーなども生息しています。またボリビアのアナイ鉱山も、有名な産地の1つ。パンタナール湿地に隠れたアナイ鉱山は魅力的な伝承に包まれています。その地は1600年にスペインの征服者により発見され、彼がアナイ(アヨレオ族出身)の女性と結婚した際に、花嫁の持参金として与えられた土地。その後、3世紀もの間人々から忘れ去られ放置されていましたが、1960年代に再び発見されたと言われています。

アメシストのお手入れ

アメシストはデリケートな宝石です。リングなどのジュエリーとして、日常使いでしやすい石にはなりますが、時間の経過とともに磨耗するため、再研磨が必要になることも。アメシストはルビーやサファイア、ダイヤモンドに比べてダメージを受けやすく、これらの石によって傷着いてしまうこともあるので、保管するジュエリーボックスは必ず分けるようにしてください。

また強い熱にあてると、通常よりも脆くなってしまうことも。尖ったファセットカットの角やエッジを傷つけないよう注意することが必要です。また、ビーチなど日差しの強い地域で、毎日身につけるのは避けましょう。長期的に強い光にさらされると色が褪せてしまうアメシストもあるので要注意です。汚れをご家庭でお手入れしたい場合には、低刺激の石鹸を用いて、柔らかなブラシでなでるようにこするようにしましょう。

アメシストを使った1890年代のアンティークジュエリー

アメシストを使った1908年~1917年にモスクワで作られたアンティークジュエリー

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