ジュエリーで旅する世界のブランド ミキモト
Issue | 2019.10.24
パールキングと呼ばれた御木本幸吉氏が創業したミキモトは、難しいとされていた真珠の養殖を初めて成功させました。日本初の真珠専門店を出店し、真珠の美しい輝きを世界に広めたジュエラーとして名高いミキモトの技術や魅力を紐解きます。Photo: Ikuo Kubota (OWL) / Text: Tomoko Katoh
Issue | 2019.10.24
パールキングと呼ばれた御木本幸吉氏が創業したミキモトは、難しいとされていた真珠の養殖を初めて成功させました。日本初の真珠専門店を出店し、真珠の美しい輝きを世界に広めたジュエラーとして名高いミキモトの技術や魅力を紐解きます。Photo: Ikuo Kubota (OWL) / Text: Tomoko Katoh
御木本幸吉氏が世界で初めて真珠の養殖に成功し、その名を歴史へ刻んだのは1893年のこと。それまで真珠は偶然の産物でしかなく、1000個の貝の中に1つあるかないかのとても希少価値の高いものでした。鳥羽のうどん屋の長男であった御木本幸吉氏は、さまざまな商売を経験するなかで志摩の名産であった真珠の美しさに魅せられます。世界中の誰もが愛する真珠を自分の手でつくり出そうと試行錯誤を重ね、鳥羽の相島で半円真珠の養殖に成功しました。
御木本氏は海外の先進技術にも早くから注目していて、日本の伝統とヨーロッパの優れた技術を掛け合わせることでアクセサリーの製作の幅を広げていきます。この2つの掛け合わせはミキモトのオリジナルデザインとして開花し、ミキモトクオリティの源として現在にも生き続けています。
ミキモトは1893年にシカゴで開催されたコロンブス万国博覧会で、養殖真珠で作った工芸品などを出品。天然に引けを取らない養殖真珠の品質の高さが大きな反響を呼び、ミキモトパールの名が世界中に知れ渡ることになりました。その技術は現在も日本の文化として世界各国から評価されており、日本でも宮内省御用達の称標許可を得ています。
またミキモトは1899年に日本初の真珠専門店を銀座に出店すると、海外へも次々に進出。戦前からロンドンやニューヨークなど世界7ヶ所に支店を出し、英国王室をはじめ世界各国のロイヤルファミリーやセレブリティーなどジュエリーを愛する世界の人々に愛されるパールを扱っています。ミキモトのパールジュエリーは、マリリンモンローやグレースケリーが愛用。パールジュエリーの人気は高く、近年ではマドンナやレディガガ、アンジェリーナジョリーなど名だたるスターたちが身に着けています。
パールと聞くとフォーマルなシーンを想像することも多いですが、カジュアルファッションにも取り入れることの出来る女性らしいアイテムです。ネックレスはレングスでシーンを分けて身に着けることで、纏う人の気品と優しさをグッと引き出してくれます。約40cmのチョーカータイプは、最もポピュラーでフォーマルやカジュアルのお出かけにも使えるお利口ジュエリー。ドレスアップスタイルにパールのネックレスとイヤリングを併せれば上品な印象に仕上がります。約60cmのマチネータイプは、欧米で昼間の装いに多く用いられることから生まれたネーミング。パンツスタイルのカジュアルな装いや、さらりとシャツ羽織ったコーディネートに良く似合うレングスです。約80cmのオペラタイプは、改まった席で大活躍するネックレスで2連にしてこなれ感を演出できます。約120cmのロープタイプはチョーカータイプの3倍もの長さがあることから、2連や3連にしたり結び目をつくって遊び心を出してみるとグッド。ダイアナ妃のコーディネートでは、3~7連など様々なスタイルで真珠を身に着けている写真が数多く残っています。
人の手ではつくり出せないとされてきた真珠。その真珠が出来るまでには様々な過程があります。まず、母貝を健康な貝として成長するよう約2年間育成。核入れが出来るまで成長した母貝に、別の貝の外套膜小片を整形した「ピース」と二枚貝の貝殻を丸く成形した「核」を母貝の体内に一緒に移植します。真珠の養殖では核入れの工程が最も大事で、真珠の品質に大きく影響するのだそう。その後は環境変化に気を配りながら母貝を管理し、冬の寒い時期に浜揚げされて真珠が誕生します。採取された真珠の中でも厳しい審査を経たものだけが、パールジュエリーとして世界中に流通するといいます。
ミキモトパールには、「光沢」「巻き」「形」「サイズ」「色」の5つの品質基準があります。全ての基準を満たす真珠は養殖真珠の中でも1割に満たないのだとか。「光沢」は、表面のなめらかさや真珠層の結晶の厚さや均一さなどの基準。「巻き」は真珠層の厚さのことを示し、厚いものほど品質が良く耐久性に優れています。「形」は、真円に近いほど良いとされていますが、ユニークな形のバロックや、ゆるやかな曲線が優美なドロップも価値が高くなる傾向に。「サイズ」は真円の場合、真珠の直径をミリ単位で表しています。「色」は基本的には白や乳白色で、色の均質なものが良いとされています。
国内外から長く愛されるミキモトジュエリーは、長く愛せる一生モノ。特別な日にも、デイリーにも、コーディネートをワンランクアップしてくれます。日本が誇るミキモトのジュエリーを纏い、秋の紅葉シーズンをエレガントに過ごしてみてはいかがでしょうか?
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