夕暮れの夜空の色を閉じ込めたタンザナイト

DATE : 2019.2.28
TEXT : Tomoko Kato

1960年代に東アフリカのタンザニアで発見されたタンザナイト。宝石としての歴史は浅いものの、神秘的な青色が人々の心を惹きつけます。タンザニアの名峰キリマンジャロの夕暮れ時の空の色に似ていることからタンザナイトと命名されたロマンティックな石。自然だけがつくりだせる、崇高な色合いを発するタンザナイトの魅力に迫ります。

見る角度によって色が変化する不思議な石

自然光の下では良質なブルーサファイアのように輝き、夜のライトの下では高貴な紫色が強まります。見る角度や条件によって色の変化を楽しめる魅惑の石。この独自の性質から、タンザナイトは確固たる地位を築くことができました。

タンザナイトの正式な鉱物名はゾイサイト。1967年、鉱物コレクターがタンザニアでルビーを探していたとき偶然発見されました。はじめはサファイアだと思われていましたが、鑑定を行った結果、ゾイサイトの青色変種だと判明。それまでゾイサイトは宝石用に使用できるものがなかったため、この美しい青色の原石は驚きとともに大変重宝されました。発色原因は微量に含まれたバナジウムによるもの。色の濃いものには、微量の酸化クロムが含まれています。

タンザニアでブルーゾイサイトが発見されるやいなや、その存在はあっという間に広まりました。そして、その存在にいち早く目をつけたのは五大ジュエラーのティファニー社。ティファニー社は、ブルーゾイサイトが売れると確信し、売り出し方を考えました。しかし、ブルーゾイサイトという名前は「スイサイド(自殺)」を連想させてしまうため、名前を変更。夜になると青色から紫色に変色する様子が、原産地タンザニアになるキリマンジャロの夕暮れ時を連想させることから「タンザナイト」=「タンザニアの夜」と命名され、世界中で人気を博しました。

サファイアにも似た青と高貴な紫に注目

タンザナイトの特徴は、何と言っても多色性。これはアレキサンドライトの変色性とは異なり、見る角度によって色が変化する石を指しています。タンザナイトは赤みがかった青色と紫色が非常に美しい石。しかし以前はこの「青色」がサファイアの一級品によく似ていたため、多色性の少ないタンザナイトが好まれたこともありました。

実際、今でも宝石を扱う小売店で「青色」のみの石をタンザナイトとして扱う店舗もあるそうです。しかし、この「青色」のみの石は厳密にはブルーゾイサイトと呼ぶべきものでタンザナイトとは異なります。タンザナイトの良品は、色が濃く多色性の強いものを指すのです。

色の変化を楽しめる高貴な紫色は、身分の高い人だけが纏うことを許された特別な色。透明度が高く、吸い込まれるような独自の紫色が魅力です。和服との相性も良いため、ハレの日に身につけるのも良いでしょう。主張しすぎず落ち着いた印象をもたらし、着物の色合いや柄をひきたててくれます。

タンザナイトの評価ポイント

タンザナイトを評価するときは、多色性・色の濃度・透明度が大切。濃度は淡すぎると評価が下がる傾向に。透明度も濃度も高いタンザナイトは、財産的価値が上がります。硬度は、6~7とさほど硬くなく柔らかいので、傷つきやすくインクルージョンが多いのも事実。しかし、これらを気にしすぎる必要はありません。ルビーやサファイア同様、傷やインクルージョンよりも全体の美しさを軸に評価するのが一般的です。

タンザナイトの産出国は、その名の通りタンザニア。以前は、盛んにタンザナイトが産出されていましたが、現在は鉱山が閉鎖しています。そのため良質なタンザナイトはどんどん値上がりする傾向に。タンザニアでしか産出せず、今度も大量産出が見込めないため、希少価値はさらに上昇すると考えられます。

パーティーでも人気のタンザナイト

「スタージュエリー(STAR JEWELRY)」が2018年11月、ホリデーシーズンアイテム発売に先駆けクリスマスプレビューパーティーを開催。会場にはコレクションテーマ「モーメンツ オブ ライト(MOMENTS OF LIGHT)」をイメージしたジュエリーが並びました。その中にはタンザナイトのネックレスも。ゴージャスな輝きのネックレスと、セットのリングがおめみえし会場は大盛り上がり。オンでもオフでも合わせられるジュエリーが注目を集めました。

また昨年、「ティファニー(TIFFANY)」が発表した新作「ペーパー フラワーズ」コレクションにもタンザナイトが。同コレクションは、ペーパーフラワーが着想源。紙から切り出した花びらの中心をピン止めして作るペーパーフラワーを、ダイヤモンド・プラチナ・タンザナイトを使用して、ジュエリーで表現しています。

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