オイリーな光沢感で美しく輝くペリドット

DATE : 2019.5.2
TEXT : Tomoko Kato

夜の暗闇で、より一層緑色の輝きを増すペリドット。暗い世界に一筋の光を与えてくれる太陽のように幻想的で神秘的な様子から、古代エジプト人から「太陽の宝石」として崇められてきました。8月の誕生石としても知られるペリドットは、夜間照明の下でも昼間と変わらない鮮やかな緑色を放つ魅惑の石。その輝きは、古くから多くの人に愛されています。そんなオリーブグリーンが美しいペリドットの魅力を紐解きます。

古くから愛されるペリドットのものがたり

ペリドットは紅海に浮かぶ島・ザバルガットで古代エジプト人により発見されたことがキッカケで、採鉱がスタート。興味深いことに、島の名前である「ザバルガド」は、アラビア語でペリドットを意味するとも言われています。古くから国石として珍重され、危険から身を守ってくれる御守りとして身に着ける人も。邪悪な力を吹き飛ばす「太陽の石」として崇拝されてきた神聖な石でもありました。以前はハワイ諸島でも頻繁に採鉱されており、先住民から「ペリドットは女神ペレの涙」として「火の清め」のパワーを持つと信じられてきました。聖書にもペリドットは「火の石」として登場しています。

また地球外物質として、隕石中や地球深くのマントルでペリドットが見つかることも。橄欖石(カンラン石)の一つであるペリドットは、その緑色の美しさからしばしば「エメラルド」と混同されることもありました。「エメラルド」をこよなく愛したことで知られるクレオパトラでさえ、自身の宝石コレクションの中にはペリドットが多数含まれていたと言われています。

エジプトの紅海に浮かぶ島・ザバルガット

地球の中心部で生まれる美しいグリーン

持ち主の魅力を内面から美しく輝かせると信じられているペリドット。女性は指輪やネックレスとして、男性はカフスやネクタイピンとして、恋人同士や夫婦でお揃いで身に着けるのと愛を深めてくれると言われています。日本では結婚22周年を祝う宝石としても人気。そんなペリドットの魅力は、何といっても美しいオリーブグリーンの色調です。石には鉄とマグネシウムが含まれていますが、美しいグリーンの決め手となるのは石に含まれる鉄の要素。鉄分が多いほど緑色が濃くなり、マグネシウムが多いほど黄色が強くなる傾向に。ペリドットの色は純粋な草緑色から暗みがあるオリーブグリーンまでありますが、最上級の色は黄色や茶色を帯びていないまっすぐな緑色です。しかし今では市場で出回るほとんどのペリドットは黄緑色をしており、純粋な緑色は希少価値の高いものとなっています。また透明度を決めるクラリティ(内包物)は、内包物が少ないクリーンなものほど価値があるとされています。

ペリドットは地核(地球の中心付近)のマントルの主要成分であり、火山付近で産出されます。溶岩の塊に運ばれて地表に出るため、急激な減圧で小さな粒に砕けてしまう傾向に。小さくても十分な存在感と輝きを放ちますが、他の天然石に比べるとサイズダウンするものがほとんど。少し大きなものになると、ほとんどのものは内部亀裂が目立ってしまいます。サイズは小さめですが、楕円形・エメラルドカット・クッションも含め、多種多様なカットを楽しめる宝石としてもたくさんの人々に親しまれています。

パキスタン産のペリドット

お手入れ一つで輝きの差が生まれます

ペリドットは紫外線や水に比較的強く扱いやすい反面、衝撃や酸性のものには弱いという弱点もあります。鉱物の硬さを示すモース硬度は6.5~7.0。イメージとしては手元から地面に落とした場合、割れてしまう可能性がある程度の強度です。日常で扱う際、衝撃には十分注意が必要です。そんなペリドットのお手入れは、装着後に柔らかい布でやさしくふき取る程度で十分。汗が付着した際や汚れが気になるときは、洗面器にぬるま湯を浸し数滴中性洗剤を入れましょう。毛先の柔らかい筆やブラシで優しく洗い、真水でよくすすいだ後、柔らかい布で表面の水気をふき取ります。衝撃に弱いペリドットは超音波洗浄機の使用は控えるのがベスト。「柔らかい布で優しく」を意識してお手入れすれば、石本来の輝きがよみがえります。

ペリドットの優しいグリーンは、春から夏にかけてのファッションのアクセントにも。シンプル服のコーデには、リングやイヤリングなどどこか1点にペリドットを取り入れるだけで、グンと爽やかさがアップします。少しずつ春の日差しが感じられる今日この頃、今年は春夏を乗り切るアジュエリーとして、優しいオリーブグリーンを身に着けてみてはいかがでしょうか。