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Journalジャーナル

専属ジュエリーデザイナー 日向ユリナ Vol.2
アイデアを引き出す、デザイナーの秀でた質問力

People | 2019.07.10

アイデクトジュエリーデザイナーの日向ユリナ。フルオーダーのデザインを担当する彼女がどのようにお客さまのご要望を引き出すのか。何からヒントを得て、どのようにアイデアが生まれるのか。デザイナー手腕が問われる、「デザインを引き出す力」の秘密に迫ります。 Photo: Ikuo Kubota (OWL) / Text: Tomoko Katoh

じっくりと話し合い、マインドチェンジすることで可能性を広げてゆく

ジュエリーのフルオーダーを手がけているアイデクト。日向はデザイナーとしてお客さまとじっくり向き合い、イメージを具現化していきます。お客さまと言葉を交わしていくうちに、次々とアイデアが湧き出ることも。デザイン画を見たお客さまは「こんなデザインに出来るの?」と驚く方も多いそう。ジュエリーに対して、固いイメージをお持ちのお客さまも多いく、「さほどデザインは変えられないのでは?」という先入観を持っている方も少ないのが現実です。「驚くようなデザインで、お客さまがマインドチェンジするタイミングが好き。お役に立てたなと感じる瞬間です」と日向は笑顔で語ります。

「プロダクトアウトの商材は『このイメージでつくらなきゃ』と思いますが、アイデクトは個人のアイデアに適宜対応するスタイル。お客さまご自身が、常に素敵なストーリーを持ってきてくれるんです」と言います。お客さまのアイデアに、プロのノウハウをプラスすることで想像を超えた感動を生み出しているのです。「ある形から未来の形を創造できるスタッフを育てて、お客さまの考え方が変わり、新たな選択肢を持つことができる。そのような人材を育てていきたい」とも今後の目標についても話してくれました。

日向は日ごろから、ひらめきを大切にしています。想像力を鍛えるために「宇宙飛行士は、何かジュエリーをつけたくなるのだろうか?」など、さまざまなシュチュエーションを想定してイメージを膨らませることも。このような日々の積み重ねが、マインドチェンジのヒントへとつながっているようです。

お客さまのジュエリーデザインが決まったら実寸で製図を描き、クラフトマンに正確に伝えるのもジュエリーデザイナーの大切な役割。仕様を説明する際、一つ一つ丁寧にメッセージを伝えます。制作途中、何度かイメージ通りにできているかのチェックを行い、最高のジュエリーに仕上がるよう努めています。

身につけるものだからこそ、良い記憶を作りたい

お客さまとじっくり会話を重ねてデザインを提案する日向。時には、お客さまとの会話から、イメージがなかなか生まれてこないことも。「そのような時は、雑誌を数冊ご覧いただき、気になるページに付箋を貼ってもらうようにしています。付箋を追いかけると、お客さまのお好みのデザインや素材が絞られてくる。その上で、デザインを具体化していきます」と語ってくれました。

付箋を貼るページはジュエリーのページに限らず、インテリアや風景などジャンルは問いません。お客さまおひとりおひとりの、好みや傾向を汲み取ることが大切。「同じ『花』でも、小花柄が好きか大柄が好きか。透かしデザインが好きか。など、少しずつ傾向が異なります。お客さまが『すべての答えを持っている』という視点で、細かいディテールを見逃さないよう注意深く観察します」。他にも、眼鏡の横縁やボタン・時計・鞄・靴のバックルなどをヒントにジュエリーデザインを考えていくそうです。

最終的に付箋を貼ったページを見直し、「やっぱり違うな」と思ったものには「NO」と答えてもらう。その繰り返しでお客さまにあったデザインをイメージしていきます。「人は『YES』よりも『NO』の方が言いやすい。そのため、『NO』を答えていただくようにしています」という言葉から、日向の優しさが垣間見えてきます。

感性が研ぎ澄まされている方や、お好きな作家さんがいる方などは、深い会話を重ねることでイメージにピッタリ合致するデザインが見つかることも。また、最初にイメージしたデザインとは、全く異なるものに仕上がるケースも珍しくないそうです。一人として同じ人間はいないので「これまで制作したラフをご覧いただいたり、何度もデザインを描いたりして、お客さまに寄り添った納得のいく提案をしたい。そのためお客さまには、『ストンと気持ちが決まるまでYESと言わないでください』とお伝えしています」。

「身につけるものだからこそ、良い記憶のものでありたい」。納得していないのに無理に決めてしまうと、見るたびに「こうしておけば良かった」という後悔ばかりを思い出し「高かったな」という印象だけが残ってしまう。そうならないためにも「じっくりと腹落ちしてから決めて欲しい。お客さまのものなので、ゆっくり迷ってもらい、楽しみながら選んで欲しいです」と笑顔で語ってくれたのです。

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